両側から掘り進んだのがトンネルで、片方から掘り進んだのが隧道(ずいどう)だ…なんて昔に教わった記憶があるのだが、先ほど調べてみたら区別はないようです。
しかしワタシ的には山で出会うトンネルは隧道の方が呼称としてしっくり来る。皆さんは如何に?
先日のハイキングで下山ルートが途中で二手に分かれていた。地図を覗き込むと、その一方が隧道を抜けていくコースではないか! 「コリャ面白そうだ」とそっちのコースを行くことにしたのだった。
しかし麓まで降りてその隧道の入口に立つと、中は想像していた以上に真っ暗。しかもけっこう長い。軽いハイク気分で来たものだからヘッドランプも持ってきていなかった。
たまたま先週読み終えた本が、横須賀だったか葉山だったかそっちの方に、幽霊が出ることで有名な隧道がある…なんて内容の話しだったものだから、その話しを思い出してしまってビビリまくり!
しかし、ここから再び山に引き返し分岐点まで登っていく気力は既に消え失せていたのだった。
勇気を奮い起こして突き進むことにした。
と、先ほどまで疲れ果てて無口だったかみさんが突然に、
「ナニ考えてんだか判るんだからね! 走って行ったりしたらダメなんだからね!」。
そうか!その手があったか! と一瞬思ったのだけれど、コチラもビビってるんだヨ!
「むしろ手を繋いで欲しいのはコッチだ!」と言いたいくらいなのだけれど、それはオトコの股間…違った、沽券に関わるってもんだ。だから強がってわざと「ムフフフ」と笑ってやった。
隧道に入ると足下はなんとかうっすら見えるけれど、壁も天井も真っ暗で見えない。これがまた、恐怖心を煽ってくれんだなぁ。
心臓バクバクさせながら進むこと数十㍍、ようやっと出口の明かりが届きそうなくらいまで進んだとき、背後から
カサカサ、カサカサ…と何かがやって来る。
いやぁ、たまげましたね。かみさん置き棄てて思いっ切り出口目指して走った走った。
背後から隧道に共鳴して聞こえてくる ギャ~! というかみさんの悲鳴。
カサカサの正体は、隧道を抜ける風が枯れ葉を運んできた音だった。イヤハヤ、アソコが縮み上がってしまいましたがな。
幽霊に会うこと思ったら、クマさんの方がまだよろしい。