谷川岳・一ノ倉沢の雄姿を見たくて、急きょ前線基地として宿泊できたのが湯宿温泉だった。ここからでは谷川岳麓の土合駅まで30分はかかるから、出来れば水上周辺の温泉地に停まりたかったのだけど、そっち方面は人気の温泉地とあってか連休で満員御礼状態。しかし、湯宿温泉も行ってみればなかなか風情があって、良い温泉町だった。
まるでタイムスリップしたかのような雑貨屋兼郵便屋さん。そしてほとんど若者の姿を見かけない石畳をあるけば、共同浴場がそこかしこにあった(4つあるらしい)。
なんでこんな小さな赤い郵便ポストがデンッ!と浴場施設の真ん前に鎮座してるのかと思ったら、入浴料金投函用のポストだった。入浴料は100円也。無人だそうだ。出来れば入ってみたかったのだけど、手ぬぐい持参でないとダメらしいのであきらめた。しかし、ジーンズのポケットにはバンダナがあったので、その気になれば入れたのだけど……。
ひっそりとした町中では一組のカップル温泉客、釣りに来たというオッサン、独り旅らしき女性、そして地元のおじいちゃん二人とお婆ちゃんにおばちゃんとしか会わなかった。そのお婆ちゃん、一番風呂に入りに来たようで、こんな明るいうちから洗面器もって歩いてた。
な~んか、ほのぼのしてて良いなぁ。入浴後は腰に手を当てながら牛乳飲めたら最高ですな。アタシは缶ビールだけど。
そんな事思いながらカメラのシャッター切ったら、胡散臭い奴と思ったのか、一度は戸を閉めて中に入ったお婆ちゃん、再び戸を開けてアタシを見てた(汗)。そんなに人相悪くないと思うんだけどなぁ。もしかして一人で入るの淋しいから一緒に入って欲しかったんだろうか?
町の裏手の山の上にも何かあるというので、やっこらヨッコラ登ってみた。町が見下ろせる場所を期待して行ったのだけど、木が生い茂っていて無理だった。少し伐採してくれれば眺望も良いだろうに。
うっそうとした林の中には、何やらちょっと恐ろしげな石仏などもあった。
1時間ほど町中を散策して宿に戻り、湯に浸かって帳場でドライヤーを借りようとしたら、まるでここに書いてくれと言わんばかりのハプニングに遭遇した。
アタシ 「ドライヤー貸してもらえません?」
宿の婆ちゃん 「ドライヤーね。何処だったかなぁ?」
と、帳場の裏側に回りアタシにコッチへ来いと手招き。そして何やら木箱を持ってきてガサゴソ。(この時点で変だと気付いた)
宿の婆ちゃん 「あった!あった! はい、どうぞ!」
手にあったのはドライバー
きっと理解してもらえんだろうとは思いつつも、
アタシ「お婆ちゃん、私のオツム濡れてはいるけど、まだそんなに緩んでないんだけどなぁ」。
宿の婆ちゃん 「ン? …………?」
泊まった宿は湯治専門のようなお宿で1泊2食付きで5500円という格安お宿・大滝屋旅館。泉質はサッパリとした湯で、わたし好みの温泉だった。谷川岳に行くことが目的で、翌朝も特別に朝食を早くしてもらったというのに朝風呂にも入ってしまった。都合3回の入浴。温泉地に来たときは最低3回は湯に浸かるのが私の流儀なのだ。
決して混浴だからでは断じてないことを付記しておく。