スナメリという動物をご存じだろうか?
イルカの仲間だ。海水・淡水どちらにも生息する水中生物だけど、エラ呼吸ではない胎生動物。なのでサカナではない。

先週末より会社同僚達と三重県へ行った。鳥羽水族館、伊勢神宮と廻ったのだけど、私は鳥羽水族館でこのスナメリに会えることが一番の楽しみだった。だって、バブルリングを作る奴がいると聞いていたから。

東海道新幹線を浜松で下車してまずは鰻で腹ごしらえ。そこからバスで渥美半島を伊良湖岬へと向かい、伊良湖港から船で鳥羽へ渡った。

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鳥羽港と鳥羽水族館は隣接していた。入館するなり真っ先にこのスナメリがいる水槽に向かった。
スナメリは何頭かいた。しかし待てど暮らせど、ちっともバブルリングを吐いてくれない。諦めて彼らの姿だけでもカメラに残しておこうとレンズを向けた。するとその中の小ぶりな一頭が私の前に来てポーズを取るではないか! 「まさか……」とは思ったけど、カメラを構えるたびに私の前でポーズを取る。
その愛くるしい動作と表情に私の顔はゆるみっぱなしだった。だけど悲しいことにここはフラッシュ禁止。薄暗い水槽の中を泳ぎ回る彼らを撮るには光量が足りなかった。カメラ構えるたびにポーズを取ってくれるから何カットもシャッター押したけど、どれもブレブレの写真ばかりだった。
彼はきっとこの鳥羽水族館で生まれたんだと思う。だからカメラにポーズを取るようになったのではあるまいか。彼にとってはこの水槽の中が全世界だから。そんなこと考えてたらちょっと悲しくなった。

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翌日は伊勢神宮にお参り。ここには天照大御神が祀られているのだそうだが、歴史に疎い私には神宮内の巨木の方が興味深かった。参道を歩くだけで2000年の歴史をヒシヒシと感じられた。

だから私は神宮よりもおかげ横丁の方が楽しくて、滞在時間もおかげ横丁に居た方が長かったのだった。

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日曜日だったから神宮もおかげ横丁も、もの凄い人出だった。ところが話したお店の人の言うことには、これでも少ないんだそうな。あたしゃ人混みが嫌いなんだ。

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私の地元にも招き猫で有名なお寺があるけど、ここおかげ横丁も吉兆招福亭の招き猫が有名らしい。入り口にも横丁の中の至る所にも鎮座していた。

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横丁の横道に入れば紙芝居や射的、輪投げなどお店があったり、冷やしキュウリやコロッケ、伊勢うどんなどのお店がぎっしり。
混んでなけりゃ一軒一軒全部のぞきたかった。

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で、お土産はやっぱり赤福でしょ、ってんで赤福本店へ。
創業寛永四年とある。西暦にすると1672年だと。実に380年以上も餡ころ餅を作ってる、ってことだ。
何年か前にニュースになっちゃって、歴史ある伝統の味に傷を残してしまったのは残念だったけど、それでも赤福は赤福だろうと買い求めることにした。
私はあんこ系の甘さが特に好きでも無いので、ひとくち食べたけど特に旨いとは感じなかった。だからこれが380年もの歴史の味なんだと理解することにした。

赤福はその日のうちに食べないといけないもの、2~3日は保存可能なものなど種類があるらしい。私が買い求めたものは賞味期限が翌日だった。
今日作った物の賞味期限が明日ってのは、生ものと一緒だな…なんて思いながら、母とかみさん用にと二つ買った。「横にしないでください」と店員さんに言われてから、ちょっと面倒な買い物しちゃったな、と思った。
そして、今や赤福は全国に店舗展開してるのだから、なにもわざわざお伊勢参りの土産にすることもなかったんじゃないかとも思った。どこでも買えるんだから。

お伊勢様に詣でたときにだけ買えるからこその赤福だろう! と考えるのはわたしだけだろうか? それは私の我が儘ってやつか? それがブランドってもんじゃないのかな、なんて帰路の電車の中で思ってた。
でもバブルリング作ったり(会えなかったけど)カメラ向けたらポーズを取る、鳥羽水族館でしか会えないスナメリはブランドになるべきじゃない。広い海で泳いでいてこそ本当のスナメリだし、そうあって欲しいと思った。彼らの世界があの薄暗くて狭い水槽だけってのは悲しすぎると感じたのだった。