昨夜は「第31回・選抜新人舞踊公演」鑑賞のため、水天宮の日本橋劇場まで出向きました。その話は後述する(かも)として、その帰り道でのことです。

エスカレータに乗っても普段は右側(関西は左側ですね)をトコトコ歩いちゃうのですが、ちょっと酒も入って足下がおぼつかなかったので左側に乗って歩かずにいました。
その時、地下へと運ばれながら「イマ、ダイビングセンコウチュウトシタラ、コレハカンゼンニおーばーうぇいと、ダナ」とフト思いました。部下にお古のBCDあげた事を思い出していたら、そんな事を思ったのです。

ダイビングを知らない方のために少し説明が必要ですね。
BCDというのは、Buoyancy Control(またはCompensator) Device の略でして、すなわち浮力調整器のことです。重いタンクを背負うための装具でもありますが、ここに空気を入れて浮力を調節します。
ダイビングでは水深によって(=水圧によって)浮力が変化するので、それを調整するための道具が必要になります。魚の浮き袋、と思ってもらえれば間違いないです(まさか浮き輪装着した魚をイメージした人、いないでしょうね)。

ダイビングを始めてまだ間もない頃、フィリピンのバングラオ島というところで潜ったときに、ウェスという名のアメリカ人と一緒になりました。
そのアメリカ人ダイバーはメチャクチャ上手な人で、身体は大きいのに長いときには120分以上も潜っていました(フツーはこんなに潜れないし、潜水病予防を考えれば出来てもやらない方が無難です)。ナイトロックスでもありません、通常エアーです。結構な深度だったんですけどね。エアーの消費量がもの凄く少ないのです。何度目かのダイビングから戻ってきたとき、彼のBCDインフレータ・ホースの肩口が破けてホースが外れていました。これではBCDに空気を送り込むことは不可能です。
実は最近、私もインフレータ・ホースの肩口取り付け部が外れていて、いくら空気送り込んでも浮力が得られずに困ったことがあったのですが、もしもこの当時、まだ初心者の頃にそんな事になっちゃったら、きっとパニックに陥っただろうと思います。

欧米人は往々にしてオーバーウェイトで潜る傾向があります。
先日行ったアニラオで、お店の人との雑談中にパラオでオーバーウェイトのために潜行し始めたらそのままドロップオフの中に消えて行ってしまった外人ダイバーの話が出てきました。
BCDにエアーを送り込んでやれば浮力が得られるのに、何故その人はエアーを入れなかったのでしょうか? 故障でエアーが送り込めなかったかBCDが破けていたのでしょうか? フィンキックしても浮上できないほどのウェイト量だったのでしょうか? だったらなんでウェイトを捨てなかったのでしょう?

ウェイトが軽くて済めばダイビングが楽になるのは当然ですが、こんなトラブルの時にもオーバーウェイトは危険なんだな、と認識を新たにしたのでした。

かなり有名な動画なので、ご覧になったことのあるダイバーも多いかとは思いますが、先程のパラオで沈んでしまったダイバーのような映像をご紹介しましょう。お断りしておきますが、私はこの動画を紹介することでダイビングの危険性を煽るつもりは少しもありません。

なんでこのダイバーが水深90m以上も下降していったのかは判りません。窒素酔いを起こしたにしては、浅い深度の時から尋常ではありませんでした。撮影機材が重すぎた? それなら自分のウェイトを捨てるなり機材そのものを捨て去れば良いわけです。それにフィンキックしてる様子もうかがえませんでした。
事故であることは間違いないですが、その原因が想像つきません。インストラクターらしいですが、それでもパニックに陥ると何も出来なくなるってことでしょうか。

私は確かにダイビングは危険を伴うスポーツだと思います。けれど、それを認識した上で行えば決して事故率の高いものではないのです。
何にせよ、私たちダイバーは普段からオーバーウェイトも含めて、細心の注意を払ってダイビングを楽しむべきなのだと思います。