人が集まって何かを成そうとするとき、こそには明確な目的が必要になる。しかし、その組織が歴史を刻むに連れ、その目的が形骸化してくることは良くあることだろう。
途中で抜けた時期もあったが、私も少年サッカークラブお手伝いを初めてかれこれ25年になる。

PTAさて。
本書は自分の息子が通う小学校からPTA役員を依頼されたパパの、そのPTA改革奮戦記である。
形にばかりとらわれてしまって本来の目的が希薄になり、依頼されることを懸命に避けようとするPTA=Parent-Teacher Associationを、もっと父兄父母が自主的に参画できるように機構改革し、PTO=Parent-Teacher Organizationに変革した、悪戦苦闘の記録だ。

ベルマーク集めを頼まれた主婦の、「お金を払うから辞めさせて欲しい」という言葉などは、そのPTAの硬直ぶりを端的に表している。拘束時間を計算すれば、ベルマーク集めるよりバイトした方がはるかにお金になる。
PTA役員になることから逃げるために、子供に居留守を使わせているうちにノイローゼになってしまったなどという話しは、思わず「そこまで思い詰めるなら受けてしまえば良いのに」と思うけれど、それほどまでにPTAという組織が嫌われているのは何故か? 子供のために必要なのが判っているなら何故、改革しようとしないのか?
そんな疑問から筆者は地元小学校のPTAを、皆がボランティアの精神で率先して参加出来るPTOに変革した。
誰もが役員をやりたがらないようなPTAがもしもまだ存在しているなら、その組織を変えるために本書は素晴らしい手本、ハウツー本となるだろう。

私の所属するサッカークラブも、かつてまとまりが悪くなった時期が少しあった。子供たちにサッカーの素晴らしさを教え、そのサッカーを楽しく安全に出来る場所を与えることが目的だったはずが、参画する人々の動機に少しずつ差異が生まれ始めたためだ。
しかし、そんな過去があったからこそ、運営方法を少しずつ変えることが出来たからこそ今に至り、ついには教えていた子供たちが社会人となり、コーチとして戻ってくるようになった。すったもんだもあったけれど、そんなクラブももうすぐ創立30周年を迎える。