何度かレック(沈船)ダイブも経験したし、ケーブ(洞穴)ダイブも経験した。そして当然ナイト(夜間)ダイブも。どのダイビングでも予備の水中ライトを携行している。しかし、かつて私は予備ライトを持たなかった。ある経験を境に持つようになった。
始めてテクニカル・ダイブ(減圧潜水)をやったヴァヌアツでのことだ。名物ポイントのプレジデント・クーリッジに潜った際に、同行したダイバーのライトが水中で「ボンッ!」という音と共に点灯しなくなった。同行ダイバー氏は予備のライトを持っていたけれど、もしも予備ライトが無かったら暗い船内でパニックものだったろう。それを見て以来、私のBCDポケットには予備の小さな水中ライトが入ってる。
昨日、ジェームズ・キャメロン監督作品の『サンクタム』を観てきた。
作品内容からして、どうしてもロードショーで観たい映画だったので、前夜のうちにネット予約をしたのだけれど、座席予約ページを覗くと埋まっていたのはたったの4席。その時点で「きっと面白くないんだろうな」とは予感がしたけど、やっぱりワイドスクリーンで観たかったから予約して出向くことにした。
日曜日だというのに六本木ヒルズの映画館は半分も入っていなかった。結果として、やっぱりその客の入りがうなずけるような作品ではあった……
実話の映画化だそうで、それを思えば映画ストーリーは背筋がゾクゾクする内容ではあった。3年前、メキシコの地底水路・セノーテを潜ったけれど、この映画を観た後だったらきっと、相当ビビリながら潜ったに違いない。それほど、闇と洞窟でのダイビングは恐ろしいと認識新たにした。
沈船ダイビングでは「船が傾くんじゃないか」とか、ケーブでのダイビングでは「岩が崩れてくるんじゃないか」とか常に頭の片隅にあったけど、そこにエアー切れの思考は働いていなかった。しかしよくよく考えれば、何が一番怖いかといやぁ、やっぱりエアー切れだ。その次が闇だ。自分の指先も見えないような、真の闇の中で減っていくエアー。想像しただけで恐ろしい。
ちょっと沈船や洞窟に潜る気持ちが萎えた。しばらくは遠慮しておこう。
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