大学時代、バリバリの体育会に所属していた。あまりのしごきに耐えかねて2年で辞めてしまったけど…。
1年の時、何度も学内で寝泊まりを強要された。雑多な作業を先輩から押しつけられて、実際のところ寝泊まりしないと終わらないのだ。
深夜まで作業をするから、当然腹が減る。ところが鬼のような先輩がいて、夜食など食べさせてもらえない。最初の頃は水を飲んだりして空腹をごまかしていたけれど、部室泊が1週間も続くと流石に辛くなってくる。

ある夜、たまたま鬼の先輩が帰宅し、2番目に怖い先輩が熟睡している隙に、私はコッソリと部室を忍び出て、遠くから聞こえる音符い?しや?きイモ?音符の声を追った。翌日の分もと大量の石焼き芋を買い込み、その場でガツガツと食った。

その翌朝……、猛烈な苦しみに襲われた。初めて体験した胸焼けだった。当時は胸焼けなるものを知らず、結局苦しみながら、せっかく認められている食事も摂る事が出来ずに1日を何も食べずに過ごした。

以来、私はイモが嫌いになった。焼き芋は勿論、パサつくジャガイモやパンすら食べる気になれなくなった。
また、あの焼け付くような苦しみに襲われるのではないか…、ノドに詰まって窒息するのではないか…、という想いが脳裏をかすめるのだ。
しかし、決してイモの味が嫌いなわけではない。その証拠に焼酎を飲むときはイモばかりだ。