「近頃の若い連中ときたら……」という科白を聞かなくなった。十数年前には爺様たちのこの言葉を良く耳にしたものだ。

私もバカな若者を見る度に「近頃の若い連中ときたら……」と、出来うることなら当の本人に小言の一つも言ってやりたいのだが、怖いのでグッと堪えている。
それでも我が愚息達は「いつか父さんはバカな奴に刺されるか大怪我するか、下手をすると殺される」と物騒なことを言う。どうも昔の血の気の多かった頃の私の印象が強いようだ。確かに昔はよく喧嘩もしたし、悪ガキを見つけると知らぬ他人の子供だろうが叱ることもあった。
が、現代では何を考えているのかサッパリ想像もつかない輩が多いので静かにしている。まだ死にたくはないので。

それにしても、やはり礼儀のなっていない若者がやたらと目に付く。電車の座席に浅く座り大股開き、混雑していようがお構いなしに足を組みヘッドフォンからは音符ズンチャカ音符ズンチャカと騒音を撒き散らかし、見るに女子高生のような子供が水商売の女性のようなファッションで平然と公衆の中で化粧をする。
いったいどんな躾をしてきたのか親の顔が見たいと思う。その様な姿、行為を見て平気なのだろうか?

とは言うものの我が愚息達は私の目の届かない所では何をしていることか……。少々心配ではあるけれど信じるしかない、我が子だから。信じているから、万が一“何か”をしでかしても「ウチの息子に限って…」などとは絶対に言わない。子供達の言い分を私は信じるだろう。

そんな心配な愚息達も、何とか大学に入ってくれた。先に出てきた愚息NO.1は、来年には社会人だ(予定では(^_^;;;  )。愚息No.2も多分あと2年で卒業できるだろう。

学生時代の私は家にいた記憶が無いのだが、我が息子達は出ていってくれ、と言っても家にいる。お陰で夫婦水入らずの旅行が出来るのは嬉しい限りなのだが、父親としての私は、もっと見聞を広めて欲しいと願っている。家を出ていって欲しいのだ。出来ることなら若いうちに日本を飛び出して欲しいのだ。