いっつもオバカな事しか書いてませんが、今回は少々真面目なことを書きますので堅っ苦しい話しが好きでない方は本日はパスしてくださいマシ。

owarazarunatsu私は父の過去をほとんど知りません。
若い頃に家(新潟)を飛び出し、東京で独り暮らしを始めたこと。満鉄に入った途端に第二次世界大戦が勃発、何度も死を覚悟しながらも命からがら帰国できたこと。帰国後、なんとか会社勤めが出来るようになったら結核になり長期療養を強いられ、会社を辞めざるを得なくなったこと。
私が知っている父の過去はこんなものしかありません。

浅田次郎の『終わらざる夏』を読みました。
まさに父が必死に生きていた頃のお話しです。話しの内容に父の生き様が、父の若かかりし頃の姿がイメージされ、胸にズシンと響きました。
浅田作品としては『シェエラザード』や『日輪の遺産』系統になるけれど、前2作に比べると登場人物が多く、そのために一人一人の描写が薄くなった感は拭えなかったです。しかし先に書いたように、父が20代で過ごしていた時代が克明に書かれていて、登場人物の一人に父の姿をダブらせながら読みました。

父があの戦時下をどのようにして生き延びてきたのかが、何となくだけれどわかったような気がします。そして、生き延びられた奇蹟と喜びを、今もう一度、あらためて感謝します。
でなければ今ここに、この私という存在すら無いのですから。

「この戦争の真の悲劇は敗戦ではない。国民の意思にかかわらず戦が始まり、それを国民の意思と断定して継続したあげくに、敗けたのだ。すべての民主的な手続きを無視し、勝手に戦い、勝手に敗けた」(本文より)。
どこの国でだって国民総意のもとに始める戦争などあり得ないでしょう。いかにも国民すべてが賛同していると思わせるプロパガンダによるところが大きいと思います。
それは似たようなカタチで今でもまだ、この日本でも隣国でも行われています。

8月15日まであと2日です。
同じ過ちを犯さないように、8月はいくつもの忘れ得ぬ日、いえ忘れてはならない日がやって来ます。その熱く苦しかった8月のお話しです。私たちや私たちの後進達が、二度と同じ過ちを起こさないためにも、ご一読をお薦めします。