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上の写真は福島県川内村のドウハン山から見下ろした、川内村東部の景色です。この写真のずっと左の方に村役場があり、その更に先に川内小学校があります。

先日3月23日、その川内小学校で卒業式がありました。卒業生はたった一人。テレビ各局、新聞でも各紙で報道されていたのでご存じの方も多いと思います。その卒業生は秋元千果(あきもと・ちか)さん。同級生は18人いたそうですが、福島原発事故による一時避難で離村した後、結局戻ったのは秋元さんだけだったそうです。
避難先の郡山市で4年も生活すれば、そこで友だちも沢山出来るでしょうし、親御さんもそこで仕事を見つければその仕事を辞めてまで川内村に戻るのは難しいでしょう。

川内村は素晴らしい村です。モリアオガエル生息地でもあり、私が訪れたときには、私の目前でイワナが産卵をしていました。訪れたのは秋も終わりの頃でしたが、山々は紅葉で染まり、その年に取れたという新米はおかずなしで食べられるほど甘くて美味しかったです。

離村した子供たちも、本当は川内小学校で卒業したかったことでしょう。日本の原風景が残る村で育つことは、都会では決して得られない貴重な体験を子供たちに与えてくれます。他人事ではあるけれど、残念でなりません。
「一人だけど一人ではない、寂しいけれどかわいそうではない」と語った秋元さん答辞の言葉は胸に刺さりました。

下の写真は日本三大巨桜として有名な福島県三春町の三春滝桜です。あと数週間で今年も見事に咲き誇ってくれることでしょう。たった1本でも多くの人を楽しませてくれます。
川内小学校2015年度卒業生もたった一人の旅立ちですが、この三春滝桜のように立派な旅立ちでした。

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