newginia5年ほど前からチャンスがあったらパプアニューギニアに行こうと虎視眈々と狙っているのだが、フライトスケジュールが私のカレンダーと合わず、行けないでいる。
そんなニューギニアの戦争手記を読んだ。この地に1万数千人が送り込まれ、生きて日本に戻れたのはわずか2百数十名。戦闘で傷つき亡くなった兵士もいたが、病気や飢えで亡くなっていく兵士の方が多かった。それらが淡々と綴られた生存兵の手記である。

戦争とはその目的が何だったのかを問われ責められることを許しても、その中で行われた行為に対して何かを問うことは何の意味も持たない。なぜなら戦争という行為の中に、道徳や人間性を求めること自体が愚かだからだ。戦争はただ単に大量殺戮を目的にした行為にすぎない。大虐殺があったかなかったか、従軍が強制であったか自己の意思だったかなど、そこにどれだけの意味があるのか。
戦勝国も敗戦国も、どちらにしても戦争に巻き込まれた当事者に残るのは、悲しく辛く、忘れたくても絶対に消えない苦悩だけだろう。

本書に書かれていたように、この地球上から戦争というものが根絶されたとき、人類はやっと文化の高さを誇れるのだと思う。その日は来るだろうか。
今年は終戦70年。私の母も父も戦争体験者だ。語ることは少ないけれど、死の淵を覗いたという話しは聞いた。その時、父か母が死んでいればこの私も存在していない。

もしもパプアニューギニアに行けるチャンスが訪れたら、線香と共にこの本を携行しようと思う。