まだまだ思考は震災と原発と、いまだに続く余震のことでいっぱいなんだけど、早く普通の生活に戻ることが重要なのだと思う。そうとは重々承知なのだけど、平静だ…とはどうしても言えない。そんな気分になれないのだ。今朝も2度も少し大きな余震があったし。しかし最近では少々の揺れでは驚かなくもなってる。

chinchouge

我が家の庭の片隅に咲いてる沈丁花です。沈丁花の香りってかなり強いです。その強い香りが風に乗って、家の中にまで侵入して来る。
この香りがその年一番に私の鼻腔に届くと、どういう訳か亡き父を思い出すのだ。まさに香りを嗅いだ瞬間に思い出すのだけれど、それは今年一番の時だけで、その後は思い出すことはない。
父は沈丁花のこの香りがあまり好きではなかったと聞いていた。なんでも若かった頃に結核になり、その時の入院生活中、この沈丁花が咲いていたらしい。
それなのに我が家にこの花があるってのは、まことにもって不思議なのだけど……。

中学生のころ、サッカー部の仲間と先生の家に遊びに行った。その時その友人が「夏って臭いするよね!」と言った。それに対して先生が「君は詩的だね」みたいなことを言ったので、なんか私だけが感性未熟と思われたみたいな気がして、「そうだね。あの草いきれみたいな香りだろ」と言うと、友人は「そんなんじゃなくて、なんか冬とは違った香りだよ」みたいな事を言ったのだった。
以来わたしはいつもこの季節の香りを意識してきた。確かに春はいっせいに咲き始めた花たちのおかげで春の到来を知ることが出来るけど、夏はどうか。

梅雨の頃は雨に臭いがあることを知る。かなり晩年、最近になってだけど夏にも臭いを、やっと感じることが出来るようになってきた。朝、窓を開けた瞬間に夏を感じることが時々ある。それは新緑の山中で嗅ぐことが出来る、あの香りに似ている。


震災された東北地方の方々にも早く春が訪れることを願って止まない。