根がケチなんで大盤振舞いなんてした事は無いのだけれど、この大盤振舞いってのは、元をたどれば「椀盤振舞い」と書き、椀や御盆にご馳走をいっぱい載せて振る舞ったのが事の始まりらしい。

お椀や御盆に食べ物&飲み物をたんまり盛って出せば良いのであるなら、いくらケチな私でもそれくらいは出来そうだ。
何を盛るかが問題ではあるけれど。

一般的には大盤振る舞いする時は、“清水の舞台から飛び降りる気持ちで”するんだろうけど、あそこから飛び降りればほぼ間違いなく死ぬ。
ってことは“死ぬ気になって”ゴチするわけで、ゴチするのに命を賭けるってぇのはどうかと思うのだ。
だから私だったら、せいぜい「清水の舞台で裸踊りする気で」おごるのが精一杯だ。



いやいや、本日もそんな事を書こうと思ったのではなかった。

何が書きたかったかというとサメのお話しだったのだった。
ノンダイバーの方からよく受ける代表的質問がふたつある。
「何メーターくらい潜るんですか?」ってのと、「サメとかに会わないんですか?」。

この潜水深度について聞かれたときは相手によって答えを変えているのだけれど、サメに関してはいつも答えは一緒。
「サメに会いたいんですよ、ダイバーは」と言ってる。

すると大抵の人が「襲われたりしないんですか?」とこれまた判で押したように同じ質問をしてくる。

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ホオジロとかタイガーとか、確かに絶対にお会いしたくないサメもいるけれど、私たちが潜る海域で遭遇するサメたちは、ほとんど大人しい。
むしろもっと攻撃的な奴や猛毒持った奴がいて、そっちの方がダイバーにはとっては嫌なんですよ・・・とは話すのだけど、本当はわたしもサメに会ってもあまり嬉しくはない。

ヨーロッパ人ダイバーは、おしなべてこのサメとウツボが好きだが、私はこの愛想のない無機質な冷たい目が嫌いだ。ウツボも一部の種類を除いて特に好きでもない。

加えて奴ら(サメのことです)は視力が弱いらしく、私たちがボコボコとはき出す泡の存在が気になり、至近距離まで寄ってくる奴もいる。
そんな時、必ずこの目でギョロリとこっちを睨むのだ。
その態度がまたまたむかつく。

芸をするとか目つき悪くても良いからウィンクくらいするとかすれば、もう少し愛着も沸いて大盤振る舞いしてあげても良いと思うのだが、それは無理な注文だろうな。
万が一賢い奴がいてそれをやったら何を盆に載せるか? 
ポテトチップスなんか出そうもんなら「てめえ、ナメてんのか!」と、きっと私が狙われる。