愚息一号がまだ2歳か3歳だったころ、千葉の保養所の大浴場で893さんに遭遇。

洗い場に座り、浴槽に向けた背中には見事な彫り物が燦然と描かれていた。
「なんか嫌だなぁ~」と思いながら、愚息を湯船に入れ自分も目をつむり極楽気分に浸っていたら、

「と~しゃん! と~しゃん! このヒト背中に絵描いてるよ~!」
と風呂場に響き渡る大音響の声。

ハッと愚息が遊んでいたはずのエリアを見ても、一号はいない。
まさか、と893さんのいた洗い場の方に目をやると、愚息はあろう事か893さんの背中をなでなでしてるではないか!

いや~、一気に湯冷めしそうでしたね。

運良く心の広い893さんで、
「おう、坊主。背中洗ってくれるのか?」なんて話してる。

そそくさと駆け寄り、
「スミマセン、失礼しました」愚息を抱えて風呂場を後にした。

PrisonHotel自分は背中に彫り物のある方と風呂が一緒になっても、それほど気にする方ではないのだけれど、フツーの人は嫌だろう。

まさか風呂場でいちゃもんつけられることは無いと思っていても、気分よろしく湯に浸ることは難しい。

でも、こんなホテルだったら物は試しにと行ってみたいなぁ。

「プリズンホテル」浅田次郎
大物総会屋の親分さんが経営するホテルで繰り広げられる人間模様。
偏屈な作家を中心にして、同宿した人々の悲喜こもごもが、笑いと涙を誘う。
夏から始まって全4巻。全編を通しての起承転結はきっちりあるけど、一話一話が短いのでアッという間に読破してしまった。

笑い溢れる内容だけど、最後はホロリと涙させられた。

奥湯元あじさいホテル=別称・プリズンホテルはどうやら群馬県の渋川あたりにあるらしい。

日に日に寒さもきつくなってきた事だし、温泉が恋しくなってきた。
訪ねて行ってみようか。あそこにでも。