エルニドから一昨日の深夜に無事帰国。昨日は朝から仕事に追いまくられましたが、やっとひと息つけました。

深夜の帰宅でヘトヘト状態でしたが、疲れなんぞはどこかにブッ飛んでしまうほどエルニドは素晴らしい島でした。心の隅々まで癒してくれる、贅沢な休暇を満喫できました。
そのエルニド報告は後日いたしますが、その前に移動前、移動中の出来事の報告です。(以降、文体が変わります。その理由は後ほど。)


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今回の旅行に限らず、私の旅の行き先の殆どはカミさん独自の情報網による極秘裏情報によって決定される。
最終結論を下すのはもちろんこの私なのだが、私は寛大な心の持ち主なので異を唱えた事は殆どない。隠そうとしても隠しきれない私の器の大きさ、心の広さが垣間見えてしまい困るところではある。

さて、今回旅立つにあたって「何処に行くのだ?」と聞いたら、「早朝便だから羽田泊でカンクン行き」との返事。
ン? 羽田からメキシコ行きの直行便とはアラブ石油王のチャーター便か何かに炊事役として紛れ込もうって作戦か? それにしてもそりゃ楽でええわいな、と思ったら「羽田発関空行き」の聞き違いだった。

関西空港早朝発のタイ航空に乗るために、羽田から関空に行き安いビジネスホテルに投宿して翌朝マニラに向かうのだった。

そのタイ航空で私たちの座席側を担当するスチュワーデスが、これまた知的なタイ美人。彼女が座席間を行き来するたびに鑑賞させて頂いた。
機内映画上映サービスが無かったのは悲しい限りだが、こんな美人のスチュワーデスを配してくれるなら許すことにしよう、と思っていた矢先のことだった。お腹も空いてきて今日のご飯はなんだろな、と期待が高まってきた頃、まるで見計らったように彼女がトレーをゴロゴロしてきた。
そして「チキンorウナギ?」と聞くではないか。ちょっと待ってくれ、少し変じゃないか? 「ニーハオ、あなたファイン?」と挨拶するようなものでしょう。それではまるでルー大柴だ。

「チキンorイール?」と聞くか「鳥とウナギのどっち?」と聞くのが正しい言語というものだ。
でも相手は美人だけど外人だからと(意味不明)、私は敢えて英語を駆使して「イール、プリーズ」とお願いした。

すると、

「ハァ~?」9cebdc8f.gif


まるで女ピン芸人まちゃまちゃのような抑揚での返答。

私が外国で駆使する“でっかい声で単語羅列すれば絶対通じるクイーンズ・イングリッシュ”を彼女が理解出来ないはずは無いので、きっと“ウナギ”が英語の“イール”であるということを理解せずにサーブしていたのだろう。
乗客である私に向かっての失礼な言動を、寛容にも快く許してあげたのは書くまでもないことだが、念のために書き残しておく。(ホントは美人だから)



……1日……2日……3日……アッ!


楽しいエルニドの日々はアッという間に過ぎ去って、既に帰国の途に着いた機上。

遅い昼食も終えてさぁ寝よう、とリクライニングを倒し実際に雲の上で雲の上気分になりウトウトしていたら、カミさんが後の席に座った日本人らしき若者に座席の背をドン!と蹴られたという。

なんだ、何だ! プロレスでも始めようってのかと思ったのだが、どうやらリクライニングを倒すな、という意思表示のようだ。

最近、口の利き方を知らない若者が増えているとは聞いていたが、まさかボディ・ランゲージでコミュニケーションをとってくるとは思いもよらなかったぞ。
そうか! 飛行中は携帯電話の使用が禁止されているから得意の携帯メール意思伝達方も使えないってわけだな。

そりゃアンタはわたしより少しだけ足が長いかもしれない。しかし、アンタより確実に長い足を器用に3つにたたんで座ってるガイジンだってそこにいるじゃないか。
それともじゃあ何か? アンタは絶対に自分の座席を倒さないとでも言うのだな! と、これから前途多難な人生が待ち受ける若者に、寛大な私が喧嘩を売るようなことを言うのも大人げないので止めた。

とはいっても倒すな、と言われても飛行機の座席が倒れるように設計されているのだから倒すのが普通なわけで「背もたれ倒しても良いですか?」と優~しく聞いてみたら「半分までならいいです」。(あれ?日本語じゃないか)

しかし半分までとは難しい注文をつける若者である。
何で半分までなら良いのか? 半分というリクライニングの角度がいったい何度なのか? はたまた仮に何度か判ったとしても、どうやって倒れた背もたれの角度を測るのか教えてもらおうじゃないか、とも思ったのだが敵はボディ・ランゲージの達人、ここで難解な質問をして太極拳ばりの手足を使った全身話法を使用されても、周囲の乗客に迷惑がかかると判断し質問するのを止めた。

ここでも周囲の乗客にまで気を配るという、寛容な処置を図らずもしてしまったのだった。
彼が口の利き方を知らないが為に身に付いたボディ・ランゲージも、わたしの思わず出てしまう寛容さにしても、身に付いてしまったものは知らず知らずのうちに滲み出てきてしまう、ということの証であろう。


以降、エルニド紀行は続く。




610a5d3a.jpg今回、旅のお供に宮田珠己の『わたしの旅に何をする。』を携行しました。いやはや最高に面白かった。
彼は旅のエッセーをいくつか上梓してるそうで、彼のことをタマキングと呼び、熱烈なファンも多いそうです。で、そのファンの事をタマキンガーと呼ぶのだそうですが、わたしも遅ればせながらタマキンガーの仲間入りさせて頂きました。

今回はタマキング調の文体でまとめてみましたが、文章表現といいウィットに溢れた内容といい、彼の足元にも及びませんでした。私の駄文で「こんなものか」とおっしゃらずに是非一度、お手にとってみてください。抱腹絶倒間違いなし、です。



※注1 電車などの公衆の中での閲読は危険です。突然ひとりで爆笑し変人扱いされても当方は関知いたしません。
私も機上でひとりバカ笑いし、マニラで黄色い救急車に出迎えられはしないかと危惧しました。(そんな色の救急車ってあるのでしょうか?)


※注2 読後、突然に思い出し笑いの危険があります。この発作は時と場所を選ばずに突然症状が現れますので、読了後も厳重な注意が必要です。また、この発作を治める特効薬はまだ開発されていないようです。

























いかん、いかん! 久々の長文に昼時間を潰してしまった。
さて昼メシ、何処に行こうか………。