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山崎豊子の「沈まぬ太陽」を読んだ。
会ったことはないけれど、彼女のあまりよろしくない評判を何度か耳にしている。
けれど、私は彼女の作品は概して好きな方で、会ったこともない彼女の人間性などどうでもいい。
あの並々ならぬ筆力と取材力は絶賛に値することは紛れもない事実だ。

しかし、今回読んだ「沈まぬ太陽」は詰まらなかったなぁ。
途中で何度、挫折しかかったことか。
「アフリカ編」上・下、「御巣鷹山編」、「会長室編」上・下と全5巻なのだけれど、それぞれ「アフリカ編」、「御巣鷹山編」、「会長室編」で完結していれば良いのに…と4巻目あたりで感じていた。
きっと取材を続けるうちに、半官半民の航空会社の中に巣くう色んな問題を知り、筆を止めることが出来なくなって構成力を欠いたのだろうと。

しかし、巻末のあとがきに彼女は今回初めての手法(構成?)で書いてみた…と記されていた。
ナルホド、そういうことか。道理で今までの作品と違って全体的な大きな構成力を感じなかったわけだ。

その伝でいけば、少なくとも私にとっては失敗でしたね。
けれど政界との癒着や労組問題など、興味深かったことも事実。御巣鷹山墜落事故の描写は想像を絶していた。亡くなられた方の遺族の皆様には読むに忍びないものがあるだろうけど。