
『収容所から来た遺言』辺見じゅん著(文藝春秋社)
ロシアに抑留されていた日本人俘虜たちの壮絶な記録。
終章を通勤途上の電車の中で迎えた。感動で鳥肌が立ち涙があふれた。下車の際に足下が歪んで恐かった。
私の稚拙な文で余計なことを書くのは止めようと思う。
しかし、1945年の敗戦から実に11年間、1956年の暮れまで極寒のシベリアに抑留され、過酷な労働を強いられていた人々が60万人もいたという事実。そして、その人々が故郷を忘れることなく、必死に帰国を望み11年もたって念願が叶ったという事実。7万人という祖先が凍てついた大地に埋葬されているという事実。
その他、私たちが後生に残しておかなければいけないことが一杯あるという事実。それらを実感をもって知ることが出来る本だということは書き残しておこう。
何が感動的なのかは書かないでおく。私のこのブログを読んだ後にこの本を読む人がいるとすれば申し訳ないので。
私の父も満鉄で働いていたと聞いた記憶がある。父はそれ以外は何も語ってくれなかったけれど、満州からの引き上げも並大抵ではなかったのだと、この本で知らされた。
父がもしも収容所に入れられていたら、いまの私はこの世に存在しなかったかもしれないのだ。
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