穏やかな潮の流れに乗ってドロップオフ(崖状の地形)際を流れていくドリフト・ダイブが好きだ。
水深を調節しながら海中のスペクタクルを楽しめる。流れがあることで大物に出会える期待感もある。ギンガメアジやバラクータの群れ、トビエイなどに逢えるのも流れのあるポイントの方が遭遇率は高い。b6aea35c.jpg


ドリフト・ダイブを楽しんでいる際、皆は何処のあたりを中心的に見ているだろう? 私は壁側30%、前方40%、海底方向30%といったところか。
私自身の少ない経験では海底方向から出てきた大物に逢った回数が多いのだ。マジュロのアルノ環礁・イリアムでマダラトビエイとナポレオンに逢えた。ナポレオンはドロップオフ際を悠々と泳いでいたが、マダラトビエイは濃紺の海底方向から忽然と、まさに“飛んで”きた。
右上の写真はランギロア・ミオリエンヌでのもの。ランギロアでは時速にすれば30?を超える超スピード・ドリフト・ダイブに驚かされたけれど、写真のポイント「ミオリエンヌ」は穏やかな流れにもかかわらず、グレイリーフ・シャークや体長2?を越すバンドウイルカに出会えた。

今年7月。インドネシアのメナドで「ただ海の中にいられれば満足なんです」というダイバーと出会った。確かに言われてみればその通りだ。ダイビングのスタイルがどうのこうの、などは話のネタに過ぎず、要は海が好きなのだ。味噌汁のような海中だけは勘弁だが、綺麗な海であれば潜っていられるだけで満足なのだ。

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マジュロのタカズ・コーラルガーデン、クニズ・コーラルガーデンは共に平均水深3?ほど。左写真のように海底から水面が見えている。シュノーケリングでも充分潜れて楽しめる水深だった。それでも敢えて重たいタンクを背負って潜っているのは、海中に長く留まっていたいからに他ならない。
太陽光を感じながらゆっくりとサンゴの間をすり抜けたり、時には仰向けになって光の乱舞を楽しんだり、その一時は魚たちと同化した時間だった。

メナドで出逢った件のダイバーは、ドリフトの際に両膝を抱えて流れに身を任せていた。時折、気にかかるサカナを見つけたりするとフィンを動かす程度で、マリモのように漂っていた。
海が本当に好きなんだなと感じた。